永田和宏

総 評 ー その年代だからこそ詠める歌の数々に感心

 短歌にはその年代にしか作れない作品があります。今回は、算数で新しいことを習った瞬間から見えてくる景色が変わり、その喜びをストレートに表現した小学生の秀作が多くみられました。大賞作品には十代ならではの繊細な恋心が表現され、年配の方にも消費税など時流をとらえた良い作品がありました。総じて、単に数字を入れただけではない新鮮な発想の歌が多く、非常にハイレベルな選考になりました。歌を詠むことで世界が違って見えてくるのは短歌の最大の魅力のひとつです。数学というテーマを通して出会った発見を、今後もぜひ歌にして伝えていただきたいと思います。
 大賞作は、高校生だからこそ詠める恋の歌で、「11の数字」って何のモチーフだろうと一瞬考えさせられるところが逆によかったですね。

短歌部門選考委員 永田和宏(歌人)

大 賞 1作品

「十一の 数字の羅列は 覚えてる 覚えているけど ボタンが押せない」

大阪府南河内郡 上田 結以さん

《副賞》 記念品・賞状

優秀賞 2作品

コンパスを 軽く回して 描いたように(母)
       はじっこちょっと かすれてる虹(娘)
   大阪府豊中市 中谷 麗夢さん
消費税 導入に向け 児童らは(夫)
       8の掛け算 特訓してる(妻)
   埼玉県さいたま市 氷川の杜さん(ペンネーム)
《副賞》 記念品・賞状

永田和宏賞 1作品

√5は 富士山麓に オウム鳴く
       富士山麓に オウムはいない
   早稲田佐賀高等学校 吉原 諒さん(1年生)
《副賞》  記念品・賞状

小学生特別賞 1作品

夕暮れに 街並み染まる 大都会
       背比べする 棒グラフのよう
   学校法人鶴学園なぎさ公園小学校 長崎 芽生さん(6年生)
《副賞》 記念品・賞状

WDX賞 1作品

手も足も 目も髭までも 愛されて
       子猫の写真は いろんな倍率
   群馬県渋川市 忽滑谷 三枝子さん
《副賞》 記念品・賞状

入 賞 10作品

えさまくと およいでくるよ ふゆのかも(妹)
  向きのそろった 三かくのむれ(姉)
栃木県宇都宮市 山口 晴香さん
ウインナー 7本分けよう 3人で(母)
  あまった1本 もちろんわたし(娘)
山梨学院大学附属小学校 小林 三紗さん(1年生)
雪玉を 作ってみたが われちゃった
  1/2を 相手になげた
学校法人鶴学園なぎさ公園小学校 山田 菜々美さん(4年生)
メネラウス メラネウスだっけ なんだっけ(本人)
  たぶん困らぬ 解けさえすれば(本人)
愛知県立明和高等学校 加藤 あまねさん(1年生)
君のこと 忘れるために 零かける(本人)
  なのにどうして 零にならないの(友人)
高崎健康福祉大学高崎高等学校 清水 愛さん(1年生)
四拍子 無視した母の 子守唄(母)
  大好きだったと 今なら言える(息子)
福井県福井市 光風 雫さん(ペンネーム)
マンションの 二部屋しかない 一室に(本人)
  七段飾りの お雛様いて(本人)
佐賀県唐津市 桐野みずえさん(ペンネーム)
老いた身を ささえる人は 減るばかり(親)
  分母小さく いずれ1かな(子)
神奈川県川崎市 無尽さん(ペンネーム)
かけざんを くり返し歩く 長いかげ
  教える声と 教わる声と
葛飾区立中之台小学校 本間 たおりさん(6年生)
お弁当 わすれた人に おすそ分け(子)
  みんなのちょっとで 1になる(母)
熊本市立桜井小学校 村田 菜月さん(6年生)
《副賞》 記念品・賞状
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